社員10人未満の会社の場合、専任の人事担当者を雇い、人事関連の業務を任せているケースは非常に少ないと思います。
売上を伸ばし、会社を大きくすることに専念したい時期であり、人事や経理といったバックオフィス業務は後回しになりがちです。
- 毎月の給与計算が面倒でしんどい
- 社員が病気で休んでいるが、何の手続きをすればいいのか分からない
- 年金事務所から郵便が届いたが、これは放っておいていいものだろうか・・・
本業で忙しくて対応する時間が無い、そもそも何をどうすればいいのか分からない、そういった声をよく耳にします。
人事関連の業務を効率よく回していくために、10人未満の会社の方が社労士を賢く使う方法を、できるだけ簡単に、そして分かりやすくまとめました。
人事関連の業務には「毎月必ず発生する業務」と「その都度発生する業務」がある
人事関連の業務については「毎月必ず発生する業務」と「その都度発生する業務」があります。
「給与計算」は毎月必ず発生する代表的な業務
毎月必ず発生する業務の代表的なものとして、給与計算があります。
勤怠集計(タイムカードの集計)を行い、給与計算を実施し、給与明細を社員に渡すといった一連の対応がすべて必要です。
給与は「毎月●日に支払う」などと支払日を決めていると思いますので、確実に支払日に間に合うように計算しなければなりません。
残業代の計算や、社会保険料・所得税・住民税などの徴収についても、正確に計算することが求められます。
「社会保険・労働保険の手続き」や「雇用契約書の作成」は都度発生する業務
一方、その都度発生する業務の代表的なものとして、社会保険・労働保険の手続きや雇用契約書の作成があります。
例えば、社員が入社をするときに健康保険証の発行手続きが必要になりますし、労働条件を明確にするために、雇用契約書を作成して取り交わすことも必要になります。
- 社会保険の手続きは、どこで何をすればいいのか
- 雇用契約書には、どんな内容を盛り込めばいいのか
など、分からないことがいろいろ出てくると思います。
インターネットで検索すれば、様々な情報が出てきますが、目的の情報にたどり着くまでストレスもかかりますし、情報にたどり着いても、それが本当に有効な情報なのか、確証もありません。
創業時は本業で成果をあげるのに集中したい時期。だからこそ時間重視で。
創業し、社員を雇いだしたスタートアップの時期は、本業で成果を出さなければならない時期です。
正解が分からないまま情報を探し求めたり、人事関連の専門知識を一から学習している時間は正直無いと思います。
時間の有効活用という意味合いでも、社労士への依頼は大きな選択肢です。
また、人事関連の業務は様々な対応が必要になりますので、担当される方の人件費が思った以上にかかっています。
外注の方がコスト削減になることがありますので、コスト面も合わせて考えるようにしてください。
残業代の正しい計算ができないと、後で大きなトラブルになる
給与計算に関連して大きな問題に発展しがちなのは、残業代の計算です。
残業代を正確に計算できないということは、「給与の未払いが発生している」ということです。
退職した元社員から、未払い残業代の支払いを要求する内容証明郵便が届いたり、ここ最近では在職中でもあっても、労使間のトラブルに発展するケースが非常に多くなってきています。
残業代の時効は3年(今後5年になる)と長く、過去の未払い分の精算を要求されると、数百万円になるケースもありますので、そうなると経営を揺るがすような問題になってきます。
社員を雇うならなるべく早い段階で、残業代の正しい計算、つまりは正確な給与計算ができるよう体制を整えるのがおすすめです。
形式的な雇用契約書では会社を守れない
人を雇うということは、仕事をしてもらう対価として、給与という高額な支払いを約束することでもあります。
給与という、大きなお金が長期に渡り支払われる契約であるにもかかわらず、簡単で雑な契約書では不安ではないでしょうか。
まれに雇用契約書の取り交わしすらされていない会社も見受けます。
雇用契約書はとても大切な書類です。
将来にわたって、行き違いがないように、決まり事を書面に起こして署名捺印をするなど、契約の証を残すことをお勧めしています。
法律的には、一部の労働条件を「書面で」「労働者に通知する」義務があり、この通知する書式を「労働条件通知書」などと呼んでいたりします。
雇用契約書で、必要な項目を記載し通知すれば、この法律上の義務も果たしたことになりますので、やはり、雇用契約書の作成と取り交わしは、欠かせない業務ではないでしょうか。
雇用契約書を作成するには知識が必要
雇用契約書に何を盛り込めばいいのか、雇用契約書を作成するためには、労働関連法令の知識が必要になります。
専門書を紐解き一つ一つ知識を得れば、十分トラブルに耐えうる雇用契約書を作成できますが、それが時間的にも難しいようであれば、やはり労働関連の法律の専門家である社労士を使うこともありだと思います。
会社を大きくすることを考えているのであれば、人事関連の業務の中でも基幹となる3つの業務を徹底的に整備しておくことが重要
会社の発展と社員数の増加は、およそ比例関係にあります。
会社を大きくするということは、社員が増えるということを意味します。
- 毎月必ず発生する業務である「給与計算」
- その都度スピーディに対応しなければならない「社会保険・労働保険の手続き」
- 労働契約の内容を書面で確認しあう「雇用契約書の作成と取り交わし」
以上の3つの業務は、人事関連の業務の中でも、基幹的な業務ですので、なるべく早い段階で、正しく運用できるように整えておくとよいでしょう。
自社で対応することが難しければ、ぜひご相談ください。
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