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お役立ち情報

社員に周知されていない就業規則は無効か?

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ご質問

社員S氏と会社のトラブルです。
会社は、S氏が取引先のお客様に暴言を吐いたことを理由に、就業規則の解雇条項である「故意または重大な過失によって会社の信用を傷つけた」を適用し、解雇しました。

ところが、そのS氏は、会社の就業規則など一度も見たことがなく、見たこともない規則に基づいて解雇されるのは無効だとし、地位保全の訴えを起こすと言っています。

ご回答

「就業規則はあるけれど…、社員に見せたことはない」、また「求められないので見せない」という会社は意外に多いものです。果たして、このような周知義務を欠いた就業規則は有効なのでしょうか?

見解が分かれているところではありますが、判例では、「労働者代表の意見聴取」、「労基署への届出」については、これを欠いたとしても就業規則は有効としていますが、「周知義務」を欠いた就業規則は無効と解するケースが多いようです。今回のケースを就業規則の適用による解雇という点だけで考えると、まったく周知させていない規則に基づいた処分であるため、会社側が不利と考えられます(S氏の行なった行為が、社会通念上解雇に相当する行為と認められれば、就業規則に基づかない解雇であっても可能となり得ますが)。

人事労務管理において、社員に対して公正な処遇をしていくことは大切なことです。公正な処遇でないと、社員は「ヤル気」を失い、場合によっては辞めてしまうこともあるでしょう。
公正な処遇の基準となる就業規則を整備し、周知させ、理解を得ることが有効であると考えます。

就業規則の届出義務

就業規則を作成・改定した場合には、すみやかに労働基準監督署へ届け出なければなりません。所定の意見書を添付し、届け出ない場合は、労基法第120条により30万円以下の罰金 となります。

※平成16年1月1日の労働基準法の改正・施行により、就業規則に「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載する必要があることが、法律上明確にされました。すでに作成している就業規則に、「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載していない場合は、「解雇の事由」を記載した上で、改めて労働基準監督署へ届け出なければなりません。

労働基準監督署は、法令に抵触する就業規則の変更を命ずることができる。
(労基法第92条2項、労基法施行規則50条)

就業規則の周知義務

就業規則は、常時、読めるようにしなければなりません!

就業規則の周知により、就業規則は使用者の内部的取扱基準であることを超えて労働者に対する客観的な準則になります。

就業規則の周知は就業規則をして事業所の小労働基準法たる効力を生ぜしめる前提要件であると考えられています。つまりは周知してはじめて意味をなすということです。就業規則は次の方法によって周知することが必要です。

  1. 常時作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付ける。
  2. 書面で交付する。
  3. 磁気ディスク等に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する。

就業規則の内容を知らなければ労働者は就業規則を守りようがないのですから、これは当然の理を表したものといえます。

フジ興産事件 最高裁 H15.10.10

就業規則が拘束力を生ずるためには、その適用を受ける事業所の労働者に周知させる手続きを要する。
原審は、旧就業規則を労基署長に届け出た事実を確定したのみで、その内容を労働者に周知させる手続きが取られているかどうか認定しないまま、旧就業規則に法的規範としての効力を肯定し、懲戒解雇を有効とした。
原審の判断には法令の適用を誤った違法があり、原判決を破棄し原審に差し戻す。

関西定温運輸事件 大阪地裁 H10.9.7

労基法所定の周知方法が採られていないからといって、直ちに就業規則の効力を否定するべきではないが、使用者において内部的に作成し、従業員に対し全く周知されていない就業規則は労働契約関係を規律する前提条件をまったく欠くというべきであるから、その内容がその後の労使関係において反復継続して実施されるなどの特段の事情がない限り、効力を有しないと言うべきであり、特段の事情があったと認めるに足りる証拠もない。

就業規則の意見聴取義務

労基法第90条は労基法第89条に基づいて使用者が就業規則を作成するにあたって、労働者の意見聴取を義務付けています。

意見を聴く労働者代表は、1.その事業場の労働者の過半数で組織する労働組合、又は2.その事業場の労働者の過半数を代表するものです。労働組合がない場合、2の意見を聴くこととなっていますが、労働組合があっても事業場の労働者の過半数で組織するものでないときは、2の代表者を選出して意見を聴くことになります。

この場合、「意見を聴く」とは、文字通り労働者の団体意思の意見を求めるということであって、同意を得るとか、協議をするとかまで要求しているものではありません。意見を聴いた結果、表明された労働者代表の意見を採用するかどうかは、最終的には使用者の決めるところです。

なお、パートタイマーなど短時間労働者に係る就業規則を作成・変更するときは、上記の労働者の代表者に加え、その事業場で雇用される短時間労働者の過半数を代表する者の意見を聴くように努めることが求められています。

就業規則の効力発生要件

懲戒処分を行うためには、就業規則にその事由と手段とを定めることが必要ですが、その前提として就業規則が有効に成立していなければなりません。

問題は、意見聴取(法90条)、労働者への周知(法106条)、監督官庁への届け出(法89条)のいずれかが欠けると、就業規則としての効力が完全ではないということです

それぞれの義務違反に対する罰則の適用云々ではなく、就業規則の効力という視点でのみ考えた場合に、意見聴取、届出、及び周知のいずれも具備する必要があるのか、あるいは周知だけで良いのかについては議論が残るところでありますが、不利益変更や、新規に不利益労働条件を創設する場合には、これらの手続を確実に踏んでおくことが重要だと考えます。

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