「残業事前承認制度」同様、ダラダラ残業(※)の防止に向けた企業の実務対応について、検討していきたいと思います。
残業の事前承認制度および労働時間数を適正に把握する仕組みが確立されれば、ダラダラ残業を一層できるはずです。しかし、それでもなお制度の網の目をくぐって仕事か私用か定かでない目的で、残業を行う者がいるかもしれません。このような者が存在する職場については、そもそも従業員としてのモチベーションやモラルの低下が問題であることは当然ながら、残業を行わせないための遵守事項を規定して対応することも一つの方法でしょう。
つまりは残業の禁止を命じることが、企業のリスク管理上有益であると考えます。
※ダラダラ残業とは?
例えば、残業をしてまでもやらなければならない仕事がないのに、本人の日中の無気力から仕事が片付かなかったり、もしくは残業代を稼ぐために居残りをすることと言えると思います。業務上不必要である残業のこととお考え下さい。
残業禁止命令 – 規定例
- (遵守事項)
第○条
従業員は、勤務にあたり、次の事項を遵守しなければならない。
1. 会社の許可なく終業時間後、職場その他の会社施設に滞留しないこと。
2. 会社の構内または施設内において、会社の許可なく業務と関係のない活動を行わないこと。
3. 勤務に関する手続きその他の届出を怠り、または偽らないこと。
4 .職場において、電話、電子メール、パソコン等を私的に使用しないこと。 - (在社の禁止)
第○条
会社は、前条各号に違反した社員に対して、所定労働時間外・休日の在社を禁止する。
会社は、前条各号に違反する在社を認めた場合、所定労働時間内外を含め、これに対応した時間分の賃金を支給しない。
注意点
ポイントは、1.明確に残業の禁止命令を発令すること(文書の交付、会社内への掲示等口頭で伝える以外にも補完しておくといいでしょう)、2.労働時間を適正に把握する仕組みを確立し、適宜実態を調査すること、3.残業をしなければ対応できないような業務がそもそも実態として存在しないのか等の確認、を行います。
この制度導入に際しては、「職場環境の見直し」、「就業規則への規定整備および周知」、「懲戒ルールの策定」を合わせて行い、十分に従業員に周知させることが必要でしょう。