はじめに
労働基準監督署の調査でチェックされる代表的な帳簿として、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿・年次有給休暇管理簿という法定4帳簿があります。
これらの法定帳簿は、記載必須の項目が決まっていますので、正しく作成ができているか事前に確認しておくとよろしいでしょう。
労働者名簿の整備
会社の本社や営業所など、事業場ごとにかつ労働者ごとに作成する必要があります。
労働基準監督官から提示を求められたら応じる必要がありますので、必須記載項目が網羅されているか確認しておきましょう。
労働者名簿整備のポイント
- 事業場ごとに作成する必要があります。
- 労働者ごとに作成する必要があります。
- 退職又は死亡の日から3年間保存する必要があります。
- 必須記載項目を満たす様式ならば書き方は自由、電子データで作成・保存してもOKです。
必須記載項目
- 氏名
- 生年月日
- 履歴
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類(常時30人未満の事業場では不要)
- 雇入れの年月日
- 退職の年月日とその理由(解雇の場合はその理由)
- 死亡の年月日とその原因
【参考書式】労働者名簿
労働者名簿ダウンロード 適宜修正して使用してください。
よくある指導事例
- 退職者について保存期間満了前に廃棄してしまっている
- 必須記載項目の退職年月日や退職事由の記載がない
- 必須記載項目の履歴が記載されていない
賃金台帳の整備
会社の本社や営業所など、事業場ごとに作成する必要があります。
労働者名簿と同様に労働基準監督官から提示を求められたら応じる必要がありますので、必須記載項目が網羅されているか確認しておきましょう。
賃金台帳整備のポイント
- 事業場ごとに作成する必要があります。
- 最終の記入日から3年間保存する必要があります。
- 必須記載項目を満たす様式ならば書き方は自由、電子データで作成・保存してもOKです。
必須記載項目
- 氏名
- 性別
- 賃金の計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数
- 基本給、手当など賃金の種類ごとの額
- 賃金控除の額
【参考書式】賃金台帳
賃金台帳ダウンロード 適宜修正して使用してください。
よくある指導事例
- 保存期間満了前に廃棄してしまっている
- 賃金計算期間(○月分、○月○日~○日など)の記載がない
- 労働時間数、残業時間数、深夜労働時間数などの記載がない
出勤簿の整備
始業時刻や終業時刻など労働時間を適正に把握する義務を会社は負っています。
また、タイムカードやICカード等の客観的な記録方法を用いるか、使用者自らが労働者の始業と終業を確認して記録する方法を用いて把握することが原則とされています。
賃金未払いとしてトラブルも多い箇所になりますので、しっかりと管理していきたいところです。
出勤簿整備のポイント
- タイムカードやICカード等の客観的な記録方法、あるいは使用者自らが労働者の始業と終業を確認して記録する方法のいずれかを導入するのが原則です。
- 働く時間だけでなく、仕事の準備や片付けの時間、始業時刻前の早出残業や研修時間も労働時間となりえますので、事前に確認しておきたいところです。
- 日々の労働時間は1分単位で把握し、集計しなければなりません。
- 最終記入日から3年間は保存する必要があります。
よくある指導事例
- 保存期間満了前に廃棄してしまっている
- 押印など出退勤の確認のみで、始業・終業時間が記録されていない
- 中抜けを認めている場合や随時休憩を取得させている場合に休憩時間の記載がない
年次有給休暇管理簿の整備
会社は、年次有給休暇を取得した日付、取得日数、付与日を明らかにした年次有給休暇管理簿を作成しなければなりません。2019年4月に法改正に伴い導入されたもので、ここ最近で労働基準監督署の調査にて指導を受けやすい箇所です。
必須記載項目が網羅された管理簿を作成しておきましょう。
年次有給休暇管理簿整備のポイント
- 労働者ごとに作成する必要があります。
- 当該年休を与えた期間中及び当該期間の満了後3年間保存する必要があります。
- 必須記載項目を満たす様式ならば書き方は自由、電子データで作成・保存してもOKです。
必須記載項目
- 時季(年次有給休暇を取得した日付)
- 取得日数(基準日から1年以内の期間における年休取得日数)
- 基準日(年次有給休暇の付与日)
よくある指導事例
- 作成義務を知らないため未作成である
- 年次有給休暇の付与日(=基準日)と取得日数の記載がされていない
- 具体的な取得日が記載されていない
- 10日以上の日数を付与された労働者について、1年以内に5日以上の有給消化をさせていない
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