裁判員制度について
- 平成21年5月21日よりスタートし、その約7割の事件は3日以内に終える予定とされています。
- 全国で1年当たり、「裁判員候補者」として約400〜800人に1人程度が裁判所に出向き、約5,000人に1人程度が実際に「裁判員」または「補充裁判員」として刑事裁判に参加するとの試算があります。
- 対象者には、交通費の他に日当が支払われます。裁判員の場合は1日当たり1万円以内、裁判員候補者の場合は1日当たり8,000円以内で時間に応じて計算され、裁判所が遠い場合には宿泊料も支払われるとされています。
- 労働基準法第7条は公民権行使の保障を定めているため、労働者の権利として裁判員や裁判員候補者として選ばれ、このために休暇を取得することを会社側は拒否することができません。ただし、賃金の取扱いについては特段の定めはなく、無給でも構わないとされています。
労働基準法第7条(公民権行使の保障)
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。
会社側で必要な対応策
1. 就業規則への記載 – 特別休暇として、その取扱いを検討しておく必要があります。
- 労働基準法上の「公の職務」に該当するため、就業規則に公民権行使の保障に関する記載があり、必要な扱いが網羅されている場合には必ずしも就業規則を改定する必要はありません。
- 但し、有給/無給、会社への申請に関する手続き等が明確でない場合、従業員への周知徹底を意図する場合には、公民権行使に関する条項があったとしても別途特別休暇の一つとして就業規則を調整することが有効だと考えます
特別休暇として定める場合の規定例
裁判員休暇
次のいずれかに該当する社員から請求があった場合、出頭もしくは裁判審理に必要な期間、裁判員休暇を与える。
- 裁判員候補者として裁判所に出頭したとき
- 裁判員として、裁判審理に参加するとき
裁判員休暇中の給与は無給とする。
従業員への不利益な扱いを行わないよう十分に注意する必要があります。
「従業員が裁判員の職務のために仕事を休んだことその他裁判員になったことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(裁判員法100条)」との規定があるよう、不利益な扱いを行うことを強く禁止しています。
事務対応上の注意点として、従業員や中間管理職層まで周知しておく必要があります。