ダラダラ残業とは?
類終業時刻を過ぎても、いっこうに帰ろうとしない。さっきまで、煙草をすって休憩していたはずなのに…。しかも、仕事をしているのか、パソコンでネットを見ているのか定かでない。
サラリーマンを経験された方であれば、少なからずそんな同僚を見たことがあるでしょう。もしかしたら、自身でも残業代を稼ぐために同様のことを行った経験があるかもしれません。あえて定義するならば、ダラダラ残業とは、残業をしてまでもやらなければならない仕事がないのに、本人の日中の無気力から仕事が片付かなかったり、もしくは残業代を稼ぐために居残りをすることと言えると思います。
過重労働による健康障害(つまり、残業などの労働時間が長時間にのぼり、従業員の健康を害する等)による労災認定をはじめ、企業責任が追及されるなか、「残業時間」とは何なのか?その管理体制を少し整備していく必要がありそうです。
今回は、残業をする場合には、事前に承認をとらせることによって、「必要のある残業」と「必要のない残業」の区分けを行い、管理監督を行う方法の1つをご紹介します。規定の整備と、制度導入の説明・周知を徹底する必要があります。
残業事前承認制度 – 規定例
- 第○条
従業員が所定労働時間を超えて勤務をする場合には、所属長から事前に時間外労働の可否および時間外労働時間数についての許可を得なければならない。やむを得ない事由がある場合には、事後承認も認めるものとする。 - 従業員は、業務の遂行に必要な時間数を超えて時間外労働の申請をしてはならない。
- 所属長の許可を得ずして、時間外労働または、休日出勤をしても、会社は原則としてこれを労働時間としては取り扱わない。
注意点
規定を設けただけで、運用面でスムーズに導入可能であれば、目的達成といえるかもしれません。実際には、課題が山積みしているケースが見受けられます。
例えば、規定があったとしても、無許可の残業があった場合に、3項等を根拠に残業代を支払わずにいると、賃金不払いとされるリスクがあります。最近の判例では、使用者が明確な残業命令を下していなくとも、業務上必要な残業であったとして「黙示の残業命令」があったと推認し、残業代の支払を命じるケースが目立ちます。つまりは、規定を設けても、形式だけで形骸化していては、全く問題の解決にはならないと考えます。
この場合には、「労働時間の適正把握」、「残業禁止命令の発出」、「懲戒ルールの策定」、「職場環境の見直し」等の対策と合わせて行っていく必要があるでしょう。